連日の温かさに驚く今日この頃であった。
昨年ささやかな造園をした庭に、完成の一点を加える如く、俺は小さな沈丁花の苗を植えた。
それは予想通りのたくましさを見せ、ここ数日のうちにちらほらと花を咲かせ始めた。
新潟の実家の庭先に、日陰をものともせず、無数の花を咲かせていた大きな沈丁花。強く刺すような香りを俺は嫌った。
今、俺の庭先からあの香りをかすかに漂わせて、早い春を知らせてくれる。やはり好きな香りとはまだ言えないが、亡き母と育った古い家を思い起こさせる、切なく懐かしい香りになった。
俺の好みはおそらく、近いうちに変わるのだろう。
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