(3/9後付)
荷造りをしない俺に妻が呆れた。
俺は、数があるから分別と詰込に時間が必要なのだ、と言い訳をした。
全くの嘘である。
妻はこういうときだけ、俺が「すぐにでも発てる男」だということを思い出すのだ。
「先生は荷造りもへったくれもない人やん?いつも引越しのときは、箱に放り込むだけやったやろが?」などと、痛いところを突いてくるのだった。
妻と一緒に、書斎の始末を始めるはずだったが、娘が邪魔をして進まぬ。ゆえに、俺がまたまた独りで作業だ。
娘よ、さりげない味方をしてくれてありがとう♪
俺はそう思った。
妻の言いようを思い出して、軽く頭に来出した。
要る要らんはもうどうでもいいわい、という気持ちになった。
本棚に並んだ順番に箱詰めしてやった。すぐ済んだ。
金・土・日の何れかの宵には、子供を早く寝かして燃える夜を過ごす。それが俺の希望なのに。
不愉快な燃え方をしてどうするのだ。
妻に言い放ちたい気分であった。
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