(3/16後付)
妻が旅行をする。おそらく初めての一人旅であろう。
妻の学生時代の友達が大阪にいるのだが、彼女がこのたび目出度く再婚をするとか。
その結婚祝いの小さなパーティに招かれたのだ。
せっかくだから前日に出かけて、京都など散策してはどうか、という話になったのだ。
宿泊は大阪。ホテルの予約は俺がネットでしてやった。
京都観光の様子は、夫婦でネットでいろいろ見て調べた。
金閣・銀閣・二条城・龍安寺といった、ベタベタなメジャー観光地だ。
妻はそれらさえ見学したことがないという。
食事場所のことをB嬢に、あつかましくも教えを請うた。親切に教えてくれた。
お得な情報なども教わった。感謝しきりである。
妻の実家は、俺の実家も同じようであるが、旅行を頻繁にする家庭ではなかったそうである。
そして、若くして結婚し、やはり旅行などをしない俺と暮らして、今日まで。
今更ながらに不憫であると思った。
別な想いでは、一人で妻を旅に出すことなど心配でならなかった俺が、ようも許せるようになったものだ。
嫉妬深い、心配性の、若い俺を思い出しては、苦く幼く思った。
そして、当たり前のように旅行に出す今の俺を、「成長したのだな・・・」と少しだけ誇らしく思った。
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