たいていの出勤時、コンビニで軽い食べ物(小袋の米菓子類)と煙草を買う。
今朝はたまたまコンビニには寄らなかった。
煙草だけは切らすわけにはいかない。何せ職場には煙草は売っていないのだから。
道路端の自動販売機で買うことにした。
そう!タスポの初仕事だ!
コンビニではなく自動販売機に寄ったのは、それが目当てだったと言っても良い。
新しいカードを手に入れた、子供みたいだなと自嘲する。
金を入れ、銘柄を選び、タスポをかざす。機械的な女の声がガイドしてくれる。
今までしゃべることなど無かった煙草の自動販売機が、しゃべることに軽く違和感と可笑しさを感じた。
車に乗り込もうとすると、後ろから来た自転車の老人に話しかけられた。全くの未知の人である。
「兄ちゃん!タスポ持っているんけぇ?」
『はい』
「わし、まだ持ってえんさけぇ、店まで買いに行かなあかんのや」
『不便でしょう?』
「ほやってー。邪魔臭いことんなったなー」
方言の強い老人であった。だが、未知の老人との会話は楽しかった。
面倒なカードことタスポで、楽しいことがひとつ。
職場での世間話でもタスポのことが出た。
我々の職場の喫煙率はかなり高いのだ。
お姐さんの一人が言う。
未成年者喫煙防止のためとはいっても・・・。
極悪の不良息子ならば、喫煙しない兄に向かって「お前の名前で作っとけや」と言うのではないか。兄も弟の振る舞いを恐れて、「はい」と作ってしまうのではないか。
そんなことを述べた。
自動販売機の識別コードが厳しければいいが・・・。そんなこともありうるかもしれんな。
お姐さんのブラックジョークにみなで苦笑した。
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