一日どんよりと青鈍色の雲が広がる空であった。遠くの山も藍色に見える。
時折思い出したように雨が落ちてくる。すると風景はにじんで、優しいものになるのだった。
今日は、俺の大切な『親友』が数年前に初めて母になった、とても重要な日なのである。
寿ぎのメールを入れた。
よう覚えているものだ、と彼女は思ったかもしれない。
林家ペーではないのだ。俺は、すべての友達・知人と、その家族の誕生日をそらんじているわけではない。
思春期になった彼女の息子は知っているだろうか。
母が苦しみの末に自分を産み落としてくれたことを。
健やかに生まれた自分を見た父母の想いを。
育んでくれる家族の有難さを。
聞き及ぶ範囲では、彼女の息子は素直に純粋に優しい少年に育っているようである。
花を愛する母親の息子が心豊かに育たぬはずはない、と俺は信じたい。
誕生日おめでとう!
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