肌寒いうす曇。
また天気が今夜から崩れ始めるらしい。
未明の帰宅で、朝寝坊を楽しんだ。
義母の居たうちの最後の頃からだが、妻はパッチワークを始めた。
パッチワークキルトと正式には言うそうだが、妻のそれは本に載っているような工芸芸術的なものではない。
正方形の布を繋げていくだけの簡素なものである。
なかなか優雅な趣味のように聞こえるが、そうでもない。
なぜなら、妻はストレスが溜まり始めると針を持つからだ。
以前、俺の仕事が今よりもっと忙しかったとき、独りきりの部屋で妻はパッチワークをして時間を過ごした。
子供ができないと悩んでいたあの頃、妻はやはり布きれを繋いでいた。黙って延々と繋いでいく姿は鬼気迫るものがあった。
今回は義母とのことがストレスになったのだろう。
以前と違って、楽しそうにしているし問題はなさそうである。ここ3日ほどの間で、小さめの壁掛けが出来上がった。
「やり始めると面白くて、やめられんのー」と笑いながら、また正方形の布を繋いでいる。
今度は何ができるのか訊いたら、「一応ベッドカバー。でもサイズがちょっと小さめやよ」と答えた。
小さめの作品が多いのは、ストレスが小さかったからなのか、久しぶりで慣らしのためなのか。わからない。
単なる趣味としてパッチワークキルトを楽しんでいるように、願っている。
これからも楽しんで布を繋げられるように、祈っている。
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