晴天。爽やかな乾いた風の吹く、秋のような天気であった。
父の日に合わせての、幼稚園の参観日。午前中の予定はそれである。
娘と二人で幼稚園に登園。
我先に案内をする娘に、幼稚園への馴染む様子が見て取れた。
「おかたづけ」と「ようい」をして、かばんを片付けたり、ズックを取り出したりするのであるが、園庭にでる。
しばらく自由に遊んだ。
娘は友達も多いようであった。俺は見守るばかりであった。
見渡してみると、結構父親たちが参加している。父の日であるけれど、昨今の家庭事情を鑑みてか、父親限定にはしていないのは勿論のことであったのだが。
それから、親子で体操、というかお遊戯(?)のような踊りをした。
照れくさかったが、父親たちはみなそうなのだろう。適当に廻ったり、腕を挙げたりしておった。俺も同じである。
園庭での行事は更に続いた。ゲームをしてみたり、手遊びを親子でしてみたり。
照りつける日差しが強くなり、時折吹く爽やかな風に汗の乾くのを感じるころ、園内に入った。
教室では、礼拝へと続く長い仏教系の歌と標語の斉唱。仏教色はかなり強い。
だが、ひとつひとつの標語はけして奇妙なことではない。
ありがとうと言います。
人の話を聴きます。
仲良くします。
そのようなものである。
娘も真面目な顔をして、標語を唱えていた。赤ちゃんめいた頬っぺたの娘の真面目な様子が可愛らしく、微笑を誘うことであった。ひときわ大きな口を開けて、先生をしっかり見ながら唱えていたと見えた。
それから、父へのプレゼントとして、かねてから作っていたといううちわをもらった。
うちわには娘の作った折り紙の作品が貼られており、花のような絵も描かれていた。
「上手にできているね。ありがとう」と言ってやった。嬉しそうに笑っていた。
帰宅後、かるく昼食。そうめんを食した。
妻に幼稚園の様子を話して聞かせた。一緒に行けばよかったと、羨んでいた。
父の日だということで、普段ふれあいの不足している俺と娘を気遣ってくれたのか、一人の時間を楽しみたかったのか、どちらもなのだろうが。
後悔先に立たずでしたね、奥さん♪
午後は予定通りの、造園業者へ出向いて樹木選び。
シンボルツリーには松も梅も選ばず。株立ちの樫の樹にした。
樫は精が強い樹で、常緑であるから。ふさわしいと思った。
一本立ちでないところがいい、と妻も賛成してくれた。
そのほか、玄関脇にそよごの樹を、やはり株立ちでひとつ。赤い実のなる樹だ。
小鳥などが訪れてくれると楽しいと思う。
和室前の庭に入れるのに、夏椿を一本。白い愛らしい一日花を次々に開かせるしゃらの樹である。
俺にとっては娘のイメージである。可愛くて初々しく、日々成長する娘に似ている。
後のこまごましたところは、造園業者の一存に任せる。予算が決まっているので、その範囲で他にも樹を入れてもらうことになっている。
少々疲れたが、その後一応職場に顔をだしておいた。dutyではないのだが。
一日、充実していたと思う。
黄昏の空に一部、ガーネット色に輝く部分があった。その中に筋雲がいくつか。銀色に輝いている。
美しい気象にしばし見とれた。
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