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少し、忙しかった。

朝から暖かかった。雪にならず雨になった。積もった雪が埃に汚れて見苦しい。
風の強い一日であった。


娘の、幼稚園のお気に入りの男友達は「りゅうちゃん」だと聞いていた。
今晩、娘の話に出てくる男は「としくん」である。
不審に思い「りゅうちゃんはどうしたの?」と尋ねたら、娘の中では彼は過去の男になっているらしい。変なことをするから嫌なのだとか、そういうことを言う。
どんな変なことをするのか、極めて興味深いのであるが、娘は詳しくは語らない。語るほどのこともないのか、忘却の彼方なのだろう。
とにかく、としくんである。
「としくんが好きなの?」と尋ねたら、「大好き」と言う。
「じゃあ、お父さんは?」と尋ねたら、「割と、好き」と言う。

『割と』というのが、俺の神経に引っかかる。少なくとも、『大好き』よりは下位に位置する表現であろう。
としくんが俺のスイッチをONにした。

娘はとしくんの人となりについて要領を得た話をしてくれない。よって、妻に「としくんてどんな男?」と尋ねてみる。
「同じ班の子みたいやよ」と妻が教えてくれた。
なるほど、幼稚園での生活を共にしているうちに、好意が芽生えたらしい。
「かっこいいんか?」とさらに尋ねる。娘は肯定したが、妻はあまり知らないのか「目が二つで・・・」とか、まったく笑えん形容をして誤魔化した。軽くイラっとくる。
「どんな家の息子だ?父親は何をしている?」とさらに妻に尋ねる。あほなことを質問している自覚はあるが、気になるのだから訊いてしまう。
妻は「知るわけがない」と苦笑する。『わけ』というところにアクセントをつけたのに、イライラっとくる。
素知らぬ顔で、俺の剥いてやったりんごをぱくついている娘にもイラっとくる反面、可愛くてしかたない・・・のがイラっとくる(?)。
妻が、俺はとしくんには異様な興味を抱くのに、自分の好きな男には興味を示さない、と笑いながら文句を言った。
苦笑する。失礼しました、という感じだ。


好きな男って、奥さん(笑)
Sというバタ臭い顔をした若い俳優のことですか?
それともDVDではまったTという俳優ですか?
もしかして、いきつけのスーパーにイケメンのレジバイト学生がいるとかか!?
だったら奥さん、禁足令を出します♪
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