昨日に引き続き晴天。
いや、昨日より暑かっただろう。俺の体感ではそうだ。
黄金の円盤は天頂から眩く照らし、地上のもの全ては喘ぐばかりである。
梅雨明けは聞かないし、早すぎるだろうが。まさに夏の太陽であった。
早朝よりぐんぐん気温が上がった。雪国育ちの白熊こと、俺は辛くて適わない。
寝起きから汗ばむ体で、ジリつく太陽を呪わしく見上げることだった。
蝉の鳴き始めたことに、初めて気づいた。
ベランダから見下ろせる、いつかのタチアオイは、数日前の大雨で茎を倒されたまま、強い日差しに負けてしなび始めている。梅雨明けの花を咲かせる前に、腐り枯れてしまうのかもしれない。
今年の夏の始まりは過酷すぎるようである。
朝一番に通院。予約は一番である。
病み上がりの上、この暑さで元気そうには見えない。通院日和ではないな、と思った。
特に相談することもない。
妻の就職に伴う、俺の気持ちについて少し話した。
頭では納得できているのだが、どうも感情が納得いかないようである、と言うと、
「愛しているんですなー」と主治医は嬉しそうな顔をした。
そんな顔をするな、と俺は思った。
愛するという単語を日常会話の中で聞くことは稀である。ましてや、男の口から面と向かって言われるなど、俺は恥ずかしくなってしまった。
「はあー」といい加減な相槌を打っておいたと思う。
まったく・・・愛なのか妄執なのか知らんが、俺の複雑な気持ちを理解しておらん。精神科医としては優秀な部類なのだろうが、カウンセラーの素質には欠ける男であることよ。
というか、俺こそが医者としてもカウンセリング能力にしても、欠けるところのある男であるのだった。だから、他人のことをアレコレ言ってはいけないのだが。
何だか、納得のいかない診察を受けた今日である。
・・・悩めることこそ生きる資格、だそうだから。
処方内容に変わりなし。寝つきが悪くなったので、マイスリーの小さいのを飲むように勧められた。
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