精神科にいつもの通院。
土産話がたくさんありすぎて、話しきれない。ゆえにこと短めに症状を話すのみ。
中程度の落ち込み状態にあるそうだ。癌のことやら、その後の職場復帰に伴うストレスなど、危難が俺に襲いかかったことを考えれば、ありうることだそうだ。
ストレスって便利な言葉であるなー、と感心する。
ストレスに負けた自分にも頭にくる。
気持ちを安定させる薬を増やされた。朝昼晩と三回も飲まねばならん。
ここのところ減薬されていたので、それだけでショックだ。
帰宅後、妻とけんか。
こんな病気の俺など要らないだろう、と皮肉を言った。否定してほしかっただけの甘えに起因するものである。
妻は、必ず治るからと俺をなだめにかかった。俺は気に入らなかった。
病気だから、病気が言わせていると思われているのが、癪に障る。
「こんなものを飲んでも、ちっとも良くなりません」と吐き捨てて、薬の袋を妻に投げてよこす。
そう言いながら、レキソタンの小さいのを3つほど飲んで、自室にこもり寝てしまう。薬に頼らないわけにはいかない身の上なのだ。
俺の脱ぎ散らかした靴を揃え、服を拾い掛けておいた妻に、また腹を立てながら、申し訳ない気持にもなる。
「出ていきたい。それか、お前たちが出て行ってくれ」と、楽しかるべき夕食の食卓には似つかわしくない暴言を吐き、家族を凍らせてみた。
黙って食事をとる光景は、滑稽だった。家族ごっこのようだった。
また書斎におこもり。
みな腫れものに触るように俺を扱いやがってー、と腹がたつ。
俺はいったいどうしたいのだろう?
独りになりたいのか、独りになるのが怖いのか。
とにかく、こんなことでは娘の教育上にも情操上にも、悪い影響を与える父親になりそうである。
頭の痛いことだ。
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