冷たい雨で明けた日曜日。
蒲団から出るのが苦痛であった。妻も同じ気持ちであったらしい。
しかし、子どものいること。時間になれば、元気に起きだす子どもに、親たちも寝床から追いやられる。
妻の会社は最近とても忙しいらしい。毎日一時間も残業をさせられている。
歩き通しの一日の仕事に妻もさすがに疲れている。家事が滞り始めたことを苦に思っている。
俺にすれば、家内が乱れ切っていると思わない。忙しいなりに妻がやりがいを感じているのならば、それはそれで結構だと思う。
妻の話では、上司に仕事ぶりを認められたことと、時給が多忙につき900円になったことが、やりがいにつながっているようだ。
時給が破格なのか、俺には分からないが。上司に認められることは時として、予想以上に勤労意欲を刺激するものである、と知っている。
真面目な妻はおそらく、一生懸命に仕事に取り組んでいるのだろう。人に比することを思いつく女ではないが、結果として真面目さが仕事の成績に反映されてくる。望ましいことだと思う。
俺はすぐに人目を気にするから、そうはいかない。
「頑張っているようで、安心しました」と言ったら、妻は複雑な笑いを返した。
何かを訊くと、「いろいろあるんだよー」と答えて、多くを話そうとしなかった。
職場にはそれぞれ、言葉では言い尽くせぬことがある。良いことも、悪いことも。長く働いたことのない妻が、仕事をすることに付属したさまざまを知り始めたことに、俺も複雑な感を抱く。
要らぬ苦労を知らぬままでいてほしかった、と思いながら。
同じく仕事に就くことで、知ってくれることが、心強いと思う。
午後から読書。仕事関係の雑誌をいくつか。
秋の夜長は読書と思索、と思っていたのだが。この秋は忙しくそうもいかなかった。
夕食にすき焼き。
久しぶりの肉食。肉ばかりよって食い、叱られる。そう言う妻も肉ばかり食っていた。
夜になりまた雨。静かに細く降る。
アスファルトは黒く光っている。行き交う車のライトがやけに素早く流れていくように、見えた。
明日も仕事だ。お互いに♪
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