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昨夜からのあられは雪に変わった。雪の朝。
うっすらと芝庭に積雪。鈍色の空からは時折、大粒のあられが落ちてくる。
一日みぞれもようであった。
寒い。一月なみの冷え込みになったそうだ。
今年は冬の訪れが唐突で、積雪も早い。大雪の年なのだろうか。
俺の季節がやってきた。腰痛もちに寒さはこたえるし、大病の後ゆえ何かと不快な症状もあるのだが、冬のきたのは嬉しい。俺は冬が好きなのだ。


早めの帰宅。ビーフシチュー(ハヤシ?)の夕食。バケットが主食であった。
何をおいても米食の俺であり、ご飯は欠かさない妻にしては、珍しいことであった。たまにはいいものだと思う。ブラウンソースに、硬くて塩気の利いたフランスパンがよく合う。
フランスパンがまだ食べにくい娘は、ご飯にシチューをかけて食べていた。
いささか食堂は寒かったが、ほかほかと湯気の上がる料理は見ているだに温かい。家族そろって食卓を囲める幸せを感じた。


書斎で調べ物をしているのを中断して、妻の相談相手をする。
職場の問題について、と今後のことについて、である。
妻の職場の事情を初めて知り、驚く。妻も最近知って衝撃を受けたそうであるが。

俺の可愛い女房がそんなところで働いていたとは!

早急に、明日にでも退職の旨を伝えるように、妻に強く助言した。助言というよりもっと強制的な、命令に近い言い方になった。
「明日にでも、辞めてきなさい」と。
妻も「わかった」と答えた。
次の職が見つかるだろうかと心配している妻には、いくらでもパート仕事は見つかるだろうと慰める。経済的に困窮しているわけではないから、急いで求職しなくてもよいことも話す。

世間の狭い俺であるし、世の中にも疎い部類の俺ではあるが、妻に話した内容に間違ったところはないと思う。
いきなりの退職は非常識とみなされるものかもしれない。が、最低の常識=法律に抵触する行いをする相手には、一般的な常識や礼儀を尽くす必要はないだろう。

何より・・・。
職場のやり方に矛盾を感じ、そのような会社で働いていることを疑問に感じ、心を痛めた妻の、正常な感覚。それが俺には嬉しかった。
他に相談相手がいなかったのかもしれないが、早々に一番に俺に話してくれたことにも満足であった。
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