雷と冷たい雨の一日。強い風が吹きすさぶ。
その後、妻とは齟齬を残したまま、何となく・・・どこの家族でもあるようななし崩し的和解にもつれ込みそうであった。平日のそれほど時間のない暮らしの中で、よく話し合うことができなかったこともある。
でも、俺はそれではいやなのだ。
みっちり妻の話を聞く時間がほしいのだ。
俺をかわいそうな人が好きと評した妻の、その理由が知りたい。この言葉だけが何故か、俺の神経に触ってしかたがない。
先日の買い物の件を忘れて職場に行ったこと、これについては俺に言うべきことはない。素直に謝らねばならん。
忘れていたことも述べて、それでも妻との約束を積極的に後回しにしたわけではない、と伝える。よく考えるとどちらもどちらで、ものすごく非礼なことをしているわけだが。
妻は、俺の脳髄の中では自分たちの扱いが後回しである、と思っているようだが、そうではないのだ。
考えあぐねて結局、そういうつもりではありませんでした、と謝ったわけである。
妻は「もう済んだことでしょ」と答えた。
済んだこととは・・・①済んだことだから、もう許すということ。
②字面通り、もう済んだ過去の話ということ。
・・・これのどちらの意味で言っているのだろう?
頭が悪いので、そんなことがわからん俺である。
これは質問しては藪蛇ではないかと思ったが、あえて質問してみた。
「もう済んだこと、いままでだってたくさんあったことやし、もういいってー」と妻は答えた。
面倒くさそうであった。または、蒸し返されたことに腹を立てているようであった。
正答は、③のもう諦めておるということ、だったのか。俺の単純な脳髄がすぐさまはじき出した答えにため息のでること。
そうではないのかもしれない。そうなのかもしれない。
此処彼の間をしばらく思考が行き来する。
俺の中をいう閉じた中で考えても、答えのないこと。空間を広げてみようと思うのも、俺のエゴイズムか。
口を閉ざして、それ以上することはなし。
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