暖かい一日。
日陰にわずかに残っていた雪もすっかり無くなった。
立ち仕事の後に急な仕事が入り、体力も気力も使い果たした。
後仕事をする気にもなれず。ソファに横になりたかったが、人の出入りが激しくならず。ぼんやりネットサーフィンなどしつつ、休むでもなく休む。
テレビを眺めながら、ようやく書類仕事を始める。不真面目だ。
寝静まった家に帰宅。
食パンにマーガリンを塗りつけ、小腹を埋める。台所の鍋に大根の煮たのが残っていたので、それも始末。俺の胃袋がおいしく頂いておいた。
食ってから、これは翌日の朝食のおかずにまわすつもりだったのだろうか、と思い至る。言い訳を考え始めたのに、苦笑。
眠る気にならず、自室で読書。
「山月記」読了。
硬質な格調高い文章が心地よかった。注釈と行ったり来たりの読書は遅々としていたが、先を読み急がせる魅力がある。
漢文の苦手だった俺にとって、孔子もその弟子たちも遠く興味をひかれる対象ではなかった。しかし、彼らそれぞれの個性を初めて感じた。描き切る作家の、漢文の素養の高さと筆力に感心した。
中島敦は漢文学者の家系に生まれたそうだ。家の空気を踏襲することが当然であった時代に、ある種のあこがれを抱く。
やはり表題の「山月記」が一番、心惹かれた。俺の心の中にも虎が住んでいるからだ。
眠る妻の、軽くあいた唇に口づけのしたい思い。
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